中国では、文字資料の乏しい少数民族の歴史は主に漢籍に依拠して書かれてきたが、近年は民族語史料の発見や蓄積も増え、少数民族が自民族史を書き始めている。たとえば雲南省徳宏州のタイ族知識人は、一九八〇年代から徳宏タイ文字の史料翻訳に力を入れ、積極的に自民族の歴史を研究·発表している。本稿でいう徳宏タイ族知識人とは、徳宏タイ語と中国語双方に通じ、雑誌や書籍の出版、新聞投稿などによって自らの意見を発表する徳宏タイ族の人々である。
德宏知识人傣族
長谷千代子: